FSIGMA株式会社 海外移住コンサルタントの山本聖です!
2024年7月にタイ政府が正式スタートさせたDTV(Destination Thailand Visa/デスティネーションタイランドビザ)が、日本人経営者・リモートワーカーの間で急速に注目を集めています。
DTVをひとことで言えば、5年間有効・マルチプルエントリーで、1回の入国あたり最大180日滞在できる長期滞在ビザです。デジタルノマドやリモートワーカーだけでなく、ムエタイ修行や医療ツーリズムを目的とする方も対象に含まれます。
本記事では、DTVの要件・費用・申請手順・注意点を詳しく解説します。
DTV(デスティネーションタイランドビザ)とは
DTVは2024年7月15日に開始されたタイの新しい長期滞在ビザです。
従来のタイランドエリートビザ(現:Thailand Privilege)と異なり、リモートワーカー・デジタルノマドを主なターゲットに設計されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ビザ名称 | Destination Thailand Visa(DTV) |
| 開始日 | 2024年7月15日 |
| 有効期間 | 発行日から5年(マルチプルエントリー) |
| 1回あたりの滞在上限 | 180日(タイ国内で1回のみ追加180日の延長可) |
| 申請料 | 10,000 THB(日本大使館・領事館での申請は約52,000円) |
| 必要資金証明 | 500,000 THB以上(約200万円相当)の預金残高 |
| 申請経路 | オンライン(thaievisa.go.th)または大使館・領事館窓口 |
| 最低申請年齢 | 20歳以上 |
出典:在福岡タイ王国総領事館 公式サイト(取得日:2026-05-05)
DTVの対象者:3つのカテゴリ
DTVは申請目的によって以下の3カテゴリに分かれます。どのカテゴリで申請するかによって、提出する証明書類が変わります。
| カテゴリ | 対象者の例 |
|---|---|
| ① ワーケーション | リモートワーカー・デジタルノマド・フリーランサー・タレント(タイ国外の雇用主・クライアント向けに仕事をする方) |
| ② タイ ソフトパワー活動 | ムエタイ修行・タイ料理学習・医療治療・スポーツトレーニング・セミナー参加・音楽フェスティバル参加等 |
| ③ 扶養家族 | DTV保持者の配偶者・20歳未満の子ども(それぞれ個別申請・個別費用が必要) |
重要:DTVはタイ国内の企業・事業に直接従事する就労はできません。タイ国外の雇用主や取引先向けにリモートで働くことが前提条件です。タイ国内のビジネスを展開・運営する場合は、別途ワークパーミットが必要になります。
フリーランスや個人事業主の方は、海外クライアントとの契約書・業務委託証明書が申請時に求められるケースがあります。日本のクライアント向けに仕事をしている場合も「タイ国外への役務提供」に該当するため対象になりますが、書類の種類・形式について申請前に大使館に確認しておくことをおすすめします。
申請に必要な書類
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| パスポート(生体情報ページ) | 有効期限6ヶ月以上必須 |
| 顔写真 | 過去6ヶ月以内撮影のもの |
| 現住所証明書 | 住民票等 |
| 銀行残高証明書 | 500,000 THB(約200万円)以上。過去3ヶ月分の取引明細が求められる場合あり |
| 目的証明(ワーケーション) | 在職証明書・雇用契約書・業務委託契約書等(タイ国外の雇用主・取引先との関係を示すもの) |
| 目的証明(ソフトパワー活動) | 受講予定のジム・学校・病院等からの招聘状または申込確認書 |
出典:在福岡タイ王国総領事館 公式サイト(取得日:2026-05-05)
費用の内訳
| 費用項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| ビザ申請料 | 10,000 THB(約52,000円) | 5年間有効。返金不可 |
| 国内延長料 | 1,900 THB(約7,600円) | タイ入国管理局で申請。1回の入国につき1回のみ可 |
出典:Siam Legal International(取得日:2026-05-05)
申請の流れ(ステップ別)
2025年1月以降、DTVはオンライン申請(thaievisa.go.th)が全世界の申請者に開放されました。大使館への来館なしに申請完結できます。
- 書類準備:パスポート、銀行残高証明、雇用・活動証明書、顔写真を揃える
- オンラインアカウント作成:thaievisa.go.th でアカウントを作成し、「DTV」カテゴリを選択
- 書類アップロード・申請送信:必要書類をPDFまたは画像でアップロード
- 審査待ち:通常5〜15営業日(大使館・領事館経由の場合は2〜4週間)
- 電子ビザ受取:承認後にeVisa(PDFファイル)がメールで届く。タイ入国時に提示
出典:ThaiEmbassy.com(取得日:2026-05-05)

DTVのメリット
- 5年間有効・マルチプルエントリー:一度取得すれば5年間繰り返し入国できる
- 最大年360日のタイ滞在が可能:1回180日+国内延長180日を複数回繰り返せる設計
- タイランドエリートと比較して圧倒的に低コスト:タイランドエリートは最低500,000 THBからだが、DTVは10,000 THBで取得可
- 家族も同条件で申請できる:配偶者・20歳未満の子どもも対象
- オンライン申請完結:大使館来館なしにeVisaポータルで完結
- 活動目的の幅が広い:リモートワークだけでなく、医療ツーリズムやムエタイ修行も対象
DTVの注意点・デメリット
- タイ国内企業への就労は不可:タイのクライアント向けに現地で働く場合はワークパーミットが別途必要
- 申請料は返金不可:審査不通過でも約52,000円は戻らない
- タイ滞在中の新規申請不可:タイ国外から事前に申請する必要がある
- パスポート更新時の対応が不明確:ビザ有効期限内でもパスポートを更新した場合の扱いは事前確認が必要
- 税務上のリスクがある(次項参照)
DTVは「滞在できるビザ」であり、タイを生活拠点にしたい方向けではありません。タイへの長期定住・永住を視野に入れている場合は、Thailand Privilege(旧タイランドエリートビザ)やLTRビザ(Long-Term Resident Visa)を比較検討することをおすすめします。目的と滞在スタイルに合わせた選択が重要です。
税務面での注意点
DTVはビザの話ですが、タイへの長期滞在は日本・タイ双方の税務上のポジションに影響を与える可能性があります。以下はあくまで一般的な参考情報です。
- タイでは暦年(1月〜12月)で180日以上滞在すると税務上の居住者とみなされ、タイに持ち込んだ所得が課税対象になる場合があります(2024年からの新税制により、過去の所得も一定条件下で課税対象になる可能性があります)
- 日本の住民票を維持したまま長期海外滞在をする場合、日本での課税関係も継続する可能性があります
- 日本・タイ間には租税条約が締結されており、二重課税の回避規定はありますが、適用要件や解釈は個人の状況によって異なります
※税務上の取り扱いは個人の状況・所得の種類・滞在日数・年度によって大きく異なります。具体的な判断は必ず税理士または専門家に個別相談のうえ行ってください。当社(FSIGMA)でも初回面談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
タイランドエリートビザ(Thailand Privilege)との比較
| 比較項目 | DTV | Thailand Privilege(旧タイランドエリート) |
|---|---|---|
| 費用 | 10,000 THB(約52,000円) | 500,000 THB〜(約200万円〜、プランによる) |
| 有効期間 | 5年 | 5〜30年(プランによる) |
| 1回の滞在上限 | 180日(国内延長で最大360日) | 180日ごとに延長手続き(回数制限なし) |
| 資金要件 | 500,000 THBの残高証明が必要 | プラン購入費用のみ(継続的な資金証明不要) |
| 就労制限 | タイ国内就労不可(リモートワークのみ) | 同様にタイ国内就労不可 |
| VIP特典 | なし | 空港VIPレーン・ゴルフ場優待・コンシェルジュ等 |
| 向いている人 | コストを抑えてタイ長期滞在したいリモートワーカー・ノマド | タイを生活拠点にしたい富裕層・長期定住希望者 |
よくある質問(Q&A)
Q. 現在タイに滞在中ですが、国内でDTVに申請・切り替えできますか?
A. いいえ。DTVはタイ国外からの事前申請が必須です。タイ滞在中に新規申請することはできません。一時帰国または第三国から申請してください。
Q. 日本に住民票を残したままDTVで長期滞在できますか?
A. 住民票の維持自体はビザとは別の問題です。ただし、長期海外滞在と住民票・税務・社会保険の関係は整理が必要なため、税理士または専門家への相談をおすすめします。
Q. 家族(配偶者・子ども)も一緒に申請できますか?
A. はい。DTV保持者の配偶者と20歳未満の子どもは同じ要件で申請可能です。それぞれ個別に申請料(約52,000円)がかかります。
Q. フリーランスや個人事業主でも申請できますか?
A. はい。タイ国外のクライアント向けにサービスを提供していれば対象になります。業務委託契約書・収入証明の準備が必要です。
Q. タイのDTVとマレーシアのMM2H(マレーシア移住)はどう違いますか?
A. DTVは主に中期的な長期滞在・ワーケーション向けのビザです。マレーシアのMM2HやPVIPはより本格的な移住・居住権取得を目的としており、資産証明の基準・メリット・税務上の取り扱いが大きく異なります。両国の比較については、FSIGMAへご相談ください。
まとめ
タイのDTV(Destination Thailand Visa)は、コストを抑えてタイに長期滞在したいリモートワーカー・デジタルノマドにとって魅力的な選択肢です。5年間有効・マルチプルエントリー・最大年360日滞在という柔軟性は、他のビザにはない強みです。
一方で、税務上のリスクや就労制限、タイ国内での新規申請不可など、事前に理解しておくべき制約も少なくありません。
タイ移住・東南アジアへの拠点展開を検討されている方は、DTV単体ではなく、マレーシアやシンガポール等との比較も含めて戦略的に検討することをおすすめします。FSIGMAでは、セブンフラッグ理論をベースに、あなたの状況に合った最適な移住プランをご提案しています。
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記事執筆者
山本 聖(やまもと せい)
FSIGMA株式会社 海外移住コンサルタント / IYOU Accounting Advisory PLT 日本代表
1994年 横浜生まれ。慶應義塾大学法学部卒。
19歳で学生起業、27歳でマレーシア・クアラルンプールへ移住。
日本人経営者・富裕層向けに、マレーシア移住・海外事業進出を支援。ラブアン法人・マレーシア法人設立、各種ビザ取得サポート、遺言書作成サービスはじめ、プライベートバンクや国際信託を活用した資産形成・資産承継コンサルティングを行う。これまでに500名以上の日本人経営者・富裕層の海外移住・資産形成相談、サポート実績。
