仮想通貨のレンディング
仮想通貨(暗号通貨)の所有者が、仮想通貨取引所やレンディング特化サービスに仮想通貨を預けることによって、一定の金利を預け入れた仮想通貨で受け取る仕組みを言います。
法定通貨を利息として受け取ることはできませんし、ビットコインを預けて、イーサリアムなどの他の仮想通貨で受け取るというようなこともできません。ユーザーから預けられた仮想通貨を企業や機関投資家に貸し付けて利益を得るという仕組みがレンディングです。銀行の融資と同じような機能を果たしています。
レンディングのメリット
通常の仮想通貨の投資といえば、安い時に買った仮想通貨を高い時に売る。その差額を利益として得るというトレーディングで行います。このトレーディングを適切に行うためには、仮想通貨の値動き分析であるチャート分析や仮想通貨事態の状況をはじめ世界の政治・経済・金融の情報収集を行うことが不可欠です。
常に仮想通貨の値動きを気にしていなければいけないので、ストレスもかかります。どのタイミングで買って、どのタイミングで売るかという点については、株式などの他の金融商品でも同じですが、うまく運用するためには、それ相応の知識が必要になってきます。
しかし、レンディングは、ただ仮想通貨を預けておくだけで利息となる仮想通貨を得ることができるので、売買に関する特別な知識は不要です。つまり、誰でも簡単に始めて利息を得ることができるのです。これが、レンディングの最大のメリットです。
今、日本の銀行に預金をしても、普通預金が0.001%、定期預金でも0.002%です。利息は限りなくゼロに近く、全く当てにできません。レンディングの預け先としては、大きく2種類あります。一つは、仮想通貨取引所です。日本では、Coincheck、GMOコイン、bitbank、BITPOINTがレンディングサービスを行っています。
もう一つは、仮想通貨レンディングサービスに特化した事業体で、Bitlendingが有名です。
ここは、取引所ではないので、直接ここから仮想通貨を売買したりはできず、あくまでもレンディングにのみ使います。取引所で購入した仮想通貨をBitlendingに預け入れるという形でレンディングができます。
得られる年間利息の相場としては、仮想通貨取引所に預けた場合は1〜5%、レンディング特化サービスに預けた場合は8〜10%程度です。
銀行預金と比べると、桁が違いますね。それなりに高い金利を得ることができるので、この点は大きなメリットです。売買で収益を上げるのではなく、安定的に利息を得る運用をしたいという人にとって、レンディングはとても良い選択肢だと言えます。従来の銀行定期預金の代替手段といった位置付けで考えても良いでしょう。
レンディングのデメリット
しかし、レンディングは良いことばかりではありません。先ず、貸し付けた金額分の返還が保証されているわけではないという点に注意が必要です。仮想通貨を預けるときは、予め預け入れ期間を選択しますが、貸した時の仮想通貨の総額が返ってくるとは限らないと言うことです。
利息分は固定なので、例えば、3ヶ月の預け入れ期間で3%の利息がつく場合、100ビットコインを預けたとしたら、満期になれば103ビットコインになります。しかし、ビットコイン自体が大きく値を下げたとしたら、103ビットコインは、当初(預け入れ時)の100ビットコインの値よりも下がっているという可能性があります。
つまり、法定通貨に換算すると損失が出る場合もあるということです。銀行の定期預金と比較して考えますと、銀行の1年定期で3%の利息がつく場合、100万円を預ければ、1年後には必ず103万円になります。元本の100万円を下回ることもないので、元本保証されています。
しかし、仮想通貨のレンディングの場合、仮想通貨自体の価格変動が非常に大きいために、法定通貨換算での元本保証はされないのです。次に、貸し出し期間中は、売却できないということです。
ユーザーは、あらかじめ選んだ預かり期間中は、基本的に解約できず、その間は塩漬けになるということです。通常であれば、仮想通貨の価格の値動きに応じて、売買をタイムリーに行うことも可能ですが、レンディングの場合、解約のできない定期預金のようなものなので、満期日をただ待つしかないのです。
つまり、移動のしづらさ=流動性の低さというのがデメリットになるわけですね。取引所によっては、GMOコインのように預かり期間の途中で解約できるものもありますが、解約手数料を取られ、さらに利息もつかないといったデメリットがあります。さらに、仮想通貨取引所の破綻リスクもあります。
銀行であれば、預金者保護制度(ペイオフ制度)があります。日本の場合、1銀行1名義で元本1,000万円までが保証されます。しかし、仮想通貨取引所が破綻した場合は、預け入れていた仮想通貨が返ってくる可能性は低く、ユーザーは一切保護されません。したがって、取引所の選択を間違えないようにしなければなりません。なるべく信用力の高い大手の取引所を選ぶのが良いでしょう。
レンディング可能な仮想通貨取引所
大手の取引所だからといって必ずレンディングサービスを行っているわけではありません。
bitFlyerやDMM Bitcoinは大手取引所ですが、レンディングサービスは行なっておりません(2022年6月25日現在)。
下図は、日本の取引所の比較表です。レンディングができる通貨は、取り扱い通貨全てとは限らないので、各取引所のホームページで確認してください。
レンディングで着実に稼ぐための方法
同じ仮想通貨のレンディングをするにしても、実は海外の仮想通貨取引所で行う方が利息が高いという実情があります。
日本国内の大手取引所であるCoincheckやGMOコインでは年利1%〜5%程度ですが、海外の大手取引所であるBINANCEでは年利最大20%、phoenixLendingでは年利最大24%もの利息を得られます。
そのため、金利で資産を着実に増やしたいと考えるならば、海外の大手取引所でレンディングを行うのも良い選択と言えます。
レンディングとステーキングの違い
レンディングサービスと似ているサービスに、ステーキングがあります。ステーキングとは、対象の仮想通貨を保有しブロックチェーンのネットワークに参加することで、対価として報酬が得られる仕組みです。両者とも仮想通貨を預けたり保有したりして報酬を得る仕組みは、非常に似ています。
まず一つ目の違いとしては、対象となる仮想通貨の種類が、レンディングサービスは多いですが、ステーキングは少ないです。また、仮想通貨を入れておく先も異なります。ステーキングは、仮想通貨プロジェクトの根幹であるブロックチェーンを対象にしているのに対して、レンディングサービスは、仮想通貨取引所やレンディング特化サービスに通貨を預けています。
また、ステーキングは通貨を自分で保有していますが、レンディングサービスは預けています。預けているので、借り手の状況によって、貸し手が債権回収できない等の影響を受ける可能性があります。レンディングサービスは、預け入れる仮想通貨の量に制限がありますが、ステーキングには保有数量に制限がありません。
また、レンディングサービスには、予め決められた預け入れ期間がありますが、ステーキングにはこのような期間はありません。報酬に関しては、レンディングサービスは固定金利、ステーキングは変動金利になります。しかし、金利の安定度に関しては、レンディングサービスが貸出先の事業体の信用度に依存しているので不安定ですが、ステーキングサービスはプロトコルが金利を決定しているので安定しています。
レンディングサービスは、貸し出し期間中は、塩漬けされるので、その間に預けた仮想通貨を自由に売却できません。一方、ステーキングは、そのような拘束はないので売却することは可能ですが、その際はステーキングを解約する必要があります。また、海外の仮想通貨取引所の中には、ロック期間が存在する場合があるので、注意してください。
このように、レンディングサービスには、様々な拘束やリスクがある分、ステーキングに比べて金利が高くなる傾向にあります。自身の資産におけるリスクリターンのバランスを見て、どちらを選択するかは慎重に検討したほうが良いでしょう。
レンディングの税金
レンディングで得た利息収益は、日本では雑所得扱いになり、他の所得と合算され総合課税として処理されます。
累進課税で、最大約55%(所得税45%+住民税10%)課税される可能性があります。また、消費税の対象にもなると解釈されています。仮想通貨に関する確定申告の仕方は、複雑な部分も多いので、税理士に確認することをお勧めします。
まとめ・今後の予想
仮想通貨のレンディングについて解説してきましたが、銀行の定期預金に代わるものとして位置付けられます。
一定期間預けておくだけでそれなりの利息が得られるので、できるだけリスクを低減して安定的に運用したいという方に適した運用方法です。それでも、仮想通貨そのものに内在するリスク(価格変動が非常に大きい)には注意しなければいけません。
したがって、どの仮想通貨をレンディングするのかという選択が重要になってきます。まずは、ビットコインや、イーサリアムといった比較的安定した仮想通貨を選択する方が良いでしょう。
また、高い利息を狙って、着実に稼ぎたい方は、対象となる仮想通貨の種類が多数で、かつ高い年利が期待できる海外の大手取引所BINANCEのレンディングサービスを活用することが良いでしょう。
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