「プライベートバンク」と聞くと何をイメージされますか?
富裕層限定の銀行でハードルが高いことを想像される方も多いでしょうか。
プライベートバンクは時代と共に変化しつつあります。日本でも海外で口座を開設される方は増えてきています。
今回は、富裕層から人気が高い、プライベートバンクの歴史と人気の理由を中心に、口座開設の条件や最低預入金額もご紹介していきます。まずプライベートバンクについて解説します。
プライベートバンクとは
プライベートバンクの定義
プライベートバンクの対象顧客は、主に世界中の王族や貴族を含む富裕層です。
ですからプライベートバンクは通常の銀行とは違う、富裕層向けの銀行だと考えてください。
プライベートバンクの業務内容
プライベートバンクの業務内容は、資産承継や法人での資金調達など、法律・不動産・税金といった多方面で富裕層の資産を守っています。
また安全に資産を運用しながら、さまざまなコンシェルジュサービスをしてくれるのが特徴です。
プライベートバンクの信頼性が高い理由
「無限責任である」というのが、伝統的なプライベートバンクの特徴です。
無限責任の逆は有限責任です。
例えば日本の会社で株主になった場合、株主は有限責任のため、会社が倒産したとしても負債を負う必要がありません。
このように責任が限定されているのが有限責任ですが、その責任が限定されていないのを無限責任と言います。
基本的にプライベートバンカーはお客様の資産に対して無限責任を負う、つまり一心同体だと言えます。
したがって非常に信頼度が高いわけです。そしてプライベートバンクの高い情報の秘匿性が富裕層に重宝されています。
プライベートバンクの歴史
プライベートバンクの歴史は14世紀頃に遡ります。
イタリアのメディチ家、当時の大富豪一族がプライベートバンク業務を開始したのが起源であると言われています。
その後、17世紀にイギリスやオランダの王室が資産管理にプライベートバンクを利用するようになり、プライベートバンクは広く普及していくことになります。
1815年、ウィーン議定書に基づいてスイスが永世中立国になりました。
永世中立国とはどの国とも戦争をしないということを宣誓した国のことです。
1919年、第1次世界大戦が終わった後に敗戦国の富裕層はその自分の財産が没収されることを恐れました。
そこで永世中立国のスイスの口座に預けておいたら安心だということで、敗戦国の富裕層が永世中立国のスイスにお金を預けるということをしました。
それを機に一気にスイスのプライベートバンクの利用が増えていきます。
さらに1934年にはスイスの銀行法が成立し、スイスのプライベートバンクの秘匿性の高さを法律で定めました。
この法律によって、スイスのプライベートバンクがより利用しやすくなり、世界中の富裕層がスイスのプライベートバンクを使うようになっていたというような経緯があります。
一族の資産管理会社「ファミリーオフィス」
プライベートバンクでは預け入れた資産をさまざまな金融商品で運用してくれます。例えば株式や債券、不動産などです。
これは私の印象ですが、私の周りでプライベートバンクに資産を入れている方は信用クラスの高い社債で運用しているケースが多いです。
海外だとその債券に対してレバレッジをかけることもできるので、比較的手堅くてある程度の利回りが期待できる社債で運用し、年間で5~10%のリターンを目指している方が多い印象です。
プライベートバンクが富裕層に人気の理由
安心の利回り
プライベートバンクでは、必ず担当のプライベートバンカーが付き、自身の資産状況や目標リターンに応じて様々な運用相談が可能です。
株式や社債ベース(ファンドを含む)の運用が一般的です。トラストでの運用も行ってくれるケースも多いです。
プライベートバンクを活用する方は、高い利回りを求めるというよりも、資産を守りつつ(リスク低く)運用したいという志向が強いため、概ね年間5~10%程度のリターンを目標に運用してくれるパターンが多いです。
最新の投資情報を入手できる
面白いのがプライベートバンクに口座を持っているだけで、プライベートバンクから良い情報が流れてくる点です。
優良顧客になっていると未公開のIPO情報といった投資情報が回ってくるので、さらなる投資機会を得ることができるのもプライベートバンクの口座を持つメリットだと言えます。
コンシェルジュサービス
プライベートバンクにはコンシェルジュサービスがあります。
例えばホテルや航空券の予約といった旅行の手配。
あとは子供の学校の手配です。欧米の富裕層は子供をボーディングスクール(寄宿学校)に入れるケースが多いのですが、そういった学校の手配もしてくれます。
他にもVIPイベント、ゴルフコンペや社交パーティーといったVIPが集まるようなパーティーへの招待といったコンシェルジュサービスもプライベートバンクの特徴の一つです。
優れた秘匿性
プライベートバンクには何といっても情報の秘匿性というメリットがあります。
顧客情報は基本的に隠されているので、他の国の当局に対しても基本的には情報開示をしないのが、伝統的なプライベートバンクのやり方でした。
また顧客に対してのサービス、誰にどういうサービスをしているかについても機密で行われています。
お客様の資産額や投資先を非公開にしているため、プライベートバンクは秘匿性が高いと言われていました。
しかし、このプライベートバンクの秘匿性を利用して租税回避スキームを使っている富裕層が続出。これが最近問題視されるようになり、CRSの導入によって加盟国間での口座情報交換が義務付けられるようになりました。
例えばプライベートバンクの聖地であるスイスやイギリスも、このCRSに加盟したことによってプライベートバンクの口座情報を他の国に対しても開示しなければならないわけです。
したがって現在は今までのように情報が全く開示されないということはなく、基本的にCRS加盟国に関しては口座情報が筒抜けになっています。
例えば日本人がスイスの銀行にお金を預けていたら、その口座情報は日本の税務当局に全て筒抜けになるということです。
プライベートバンクを開設できる人の条件
なお、誰でもプライベートバンクを開設できるわけではありません。
開設にはさまざまな条件があります。
銀行によって異なりますが最低1億円以上の預入資産が必要です。
特にスイスの老舗プライベートバンクであれば、最低10億円ないと開設できないところも多いです。
さらに個人の信用情報や資金情報も見られるので、PLやBSといった書類を提出する必要があります。
また、特に老舗プライベートバンクであればあるほど、顧客からの紹介であるかどうかを重視します。誰からの紹介なのかで信用をチェックするところもあるため、紹介がないと良い条件で口座開設ができない、あるいは口座開設そのものができないといったこともあります。
このようにさまざまな審査がありますが、それに通るとプライベートバンクの銀行口座が開設できます。
プライベートバンクへの最低預入金額は?
一般的にプライベートバンクの口座開設をするには、最低預入額が設定されており、最低100万ドル(約1.1億円)以上が必要です。
海外と日本のプライベートバンクどちらで開設した方が良いの?
実は日本の銀行にはプライベートバンクは存在せず、プライベートバンクに近い富裕層向けの資産運用のサービスを提供しています。
正確にはプライベートバンキングサービスを行っているというのが正しい表現になります。
一方海外では、スイスのようにプライベートバンク運営に関する法律が整っている国もあり、安心して任せることが出来ますので海外での開設がおすすめです。
外資の大手プライベートバンクで日本に支店・窓口を開いているのは、UBSとクレディ・スイスの2社(いずれも拠点はスイス)のみで、HSBCやシティグループはプライベートバンク事業を日本から撤退させています。
日本では金融規制が厳しく、思うようなサービスを提供できず顧客獲得が難しいというのが主な撤退理由のようです。
まとめ
日本よりも海外の方がプライベートバンクの方が、選択肢が多くおすすめです。
プライベートバンクに10億円程度預けて手堅く年間5%程度の利回りで運用してもらい、毎年5,000万円の投資益を得られればOKといった具合に活用する富裕層が多い印象です。
これから本格的に資産運用を行っていくという方は、プライベートバンク口座を開設するというのを一つの目標にしてみることもおすすめです。
弊社ではプライベートバンクの開設サポートを承っております。