【2026年最新】マレーシアのデジタルノマドビザ(DE Rantau)完全ガイド|経営者も対象拡大・本人申請必須の実情

コロナ禍を機に世界各国で広がったデジタルノマドビザですが、マレーシアのデジタルノマドビザ「DE Rantau Nomad Pass(デ・ランタウ・ノマド・パス)」は2022年10月の開始から4年目に入り、内容が大きく様変わりしています。

最大の変化は、2024年6月の対象拡大です。従来はIT・デジタル系の職種に限られていましたが、現在は経営者(創業者・CEO)や会計士、法務、コンサルタントといった非テック系の専門職まで申請可能になりました。マレーシア移住を検討する経営者の方から、このビザについてのお問い合わせが弊社にも急増しています。

一方で、申請手数料の実質値上げや、2025年5月からの「手数料返金なし」ルールの導入など、審査・費用面はむしろ厳格化が進んでいます。

本稿では、2026年7月時点の最新の申請条件・費用・審査の実情を解説します。特に、お問い合わせが急増している「非テック枠での経営者申請」についても、実務目線で詳しくお伝えします。

目次

DE Rantau Nomad Passとは

DE Rantau Nomad Passは、マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)が2022年10月1日に開始した長期滞在ビザです。観光ビザでの90日滞在・出入国を繰り返す従来の方法とは異なり、最長2年間、腰を据えてマレーシアに滞在しながら仕事ができる制度として設計されました。

項目内容
ビザ名称DE Rantau Nomad Pass(デ・ランタウ・ノマド・パス)
運営機関マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)
開始時期2022年10月1日
対象拡大2024年6月(非テック職種・経営者層を追加)
在留期間3〜12ヶ月(12ヶ月の延長で最長24ヶ月)
申請費用・本人 MYR 1,080(約4.3万円 )
・扶養家族 MYR 540(約2.2万円)/1名
※2026-07-24時点のレート、1MYR≒40.0円で換算
申請方法

オンライン申請のみ(malaysiadigital.mdec.my)
*エージェントの代行不可

出典:MDEC公式サイト(取得日:2026-07-24)

DE Rantauの対象者|テック系だけでなく経営者・専門職も

2022年の開始当初、DE Rantauはソフトウェアエンジニアやデザイナーなど、IT・デジタル系の職種に限定されたビザでした。しかし2024年6月、マレーシア・デジタル省(Ministry of Digital)が対象範囲を正式に拡大し、非テック系の専門職・経営層も申請できるようになりました。

区分対象職種例年収条件
テック系ソフトウェアエンジニア、UI/UXデザイナー、クラウド、サイバーセキュリティ、AI・機械学習、データ関連、デジタルマーケティング 等

USD 24,000以上
(約393万円) 


非テック系
(2024年6月〜)
創業者・CEO・COO・CFO、事業開発、マーケティング管理職、人事管理職、法務、コンサルタント 等USD 60,000以上
(約982万円)

出典:MDEC公式サイトMinistry of Digital発表(取得日:2026-07-24)※1USD≒163.7円で換算

ワンポイントアドバイス
「経営者」だからといって無条件に対象になるわけではありません。あくまで「マレーシア国外を拠点とする事業・雇用契約からの収入」であることが前提で、マレーシア国内企業からの報酬はカウントされません。ご自身の会社がどの国に所在しているか、収入の源泉がどこにあるかを整理した上での申請設計が必要です。

申請費用・在留期間・家族帯同

主申請者の申請費用はMYR 1,080(約4.3万円)、扶養家族はMYR 540(約2.2万円)が1人あたり必要です。2022年時点ではMYR 1,000・MYR 500でしたが、8%のSST(売上・サービス税)が加算され、実質的に値上がりしています。

在留期間は当初3〜12ヶ月の範囲で許可され、その後12ヶ月の延長申請が可能なため、最長で通算24ヶ月(2年間)滞在できます。2年超の延長はできません。配偶者・18歳未満の子供に加え、主申請者の親も帯同が認められている点は、他国の同種ノマドビザと比べても手厚い設計といえるでしょう。

申請方法|原則ご本人での申請が必須

DE Rantauは「malaysiadigital.mdec.my」のオンラインポータルから100%電子申請で完結します。MM2Hや一般の就労ビザ(Employment Pass)とは異なり、DE RantauはMDECが直接審査する独自の枠組みのビザです。そのため行政書士や弊社のようなエージェントが申請者本人に代わって代理提出する仕組みが用意されておらず、原則としてご本人がアカウントを作成し、ご自身で申請書類一式をアップロードする必要があります。

フリーランス・個人事業主に必要な主な書類は、
・有効な業務委託契約書(残存期間3ヶ月以上)
・直近の収入証明
・健康保険証書
・犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)
などです。

リモートワーカー(会社での雇用契約者)の場合は、
・有効な雇用契約書(マレーシア国外の雇用主に限る、残存期間3ヶ月以上)
・雇用証明レター
・直近の給与明細
・健康保険証書
・犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)
などが必要になります。

「本人申請必須」とはいえ、英語での書類作成・オンラインフォーム入力に不安がある方は少なくありません。エージェントが申請そのものの代行はできませんが、書類の作成サポート・翻訳サポートなどが可能な提携先のご紹介は可能です(詳細は後述)。

【現地からの実感】審査は厳しめ——体感承認率は約3割

弊社にマレーシア移住のご相談をいただく中で、DE Rantauに関するお問い合わせも年々増えていますが、率直に申し上げると、実際に承認までたどり着くケースは決して多くありません。あくまで弊社が現地でご相談・書類確認に携わった案件をもとにした肌感覚であり、公式に発表された統計ではありませんが、体感の承認率はおよそ3割程度と感じています。

主な却下要因は、収入証明の書式がMDECの求める形式と合っていないこと、契約書の「残存期間3ヶ月以上」という要件を満たしていないこと(更新前提の口頭合意では不可)、マレーシア国内企業との取引・雇用関係が少しでも含まれていること、の3点に集中している印象です。

また2025年5月から、審査結果にかかわらず(却下・取り下げを含め)申請手数料は一切返金されないルールに変更されました。以前は「ダメ元で出してみる」という選択肢も取りやすかったのですが、現在は1回の申請の重みが増しており、事前の書類精査がこれまで以上に重要になっています。

ワンポイントアドバイス
MDECの公式処理期間は「6〜8週間」とされていますが、実務上は3〜4ヶ月かかるケースが多いのが実情です。渡航・入居のスケジュールを組む際は、公式の目安より長めに見込んでおくことを強くおすすめします。

DE Rantau利用時の注意点

・マレーシア国内企業からの収入、契約は一切カウントされず、現地企業とのやり取りが少しでもあると審査に響く可能性があります。
・就労可能な業務範囲は「デジタルノマドとしての本来の業務」に限られ、マレーシア国内での就職・転職はできません。
・申請手数料は2025年5月以降、結果に関わらず返金不可です。
・公式の処理期間は6〜8週間ですが、実務上は3〜4ヶ月見込む必要があります。
・却下されても正式な異議申立て制度はなく、再申請のみが実質的な救済手段となります。

DE Rantauと他の長期滞在ビザとの違い|「代行不可」はDE Rantauだけの特徴

マレーシアへの長期滞在を検討する際、DE Rantau以外にもMM2H(マレーシア・マイセカンドホーム)や、マレーシア法人やラブアン法人に雇用される形で取得するEmployment Pass(就労ビザ)が選択肢に挙がります。3つを並べると、DE Rantauだけが「エージェントによる代理申請が制度上認められていない」という際立った違いを持っていることが分かります。

項目DE RantauMM2HEmployment Pass(就労ビザ)
対象者フリーランス・リモートワーカー・経営者(非テック)一定の金融資産・年収を持つ個人マレーシア法人・ラブアン法人に雇用される人
年収・資産条件年収
テック系:USD 24,000〜
非テック系:USD 60,000〜
シルバー:15万USDの定期預金、60万MYR以上の不動産購入月給基準あり(職種・州により異なる)
*ラブアン法人の場合は月10,000MYR以上
滞在期間最長2年シルバー5年、ゴールド15年、プラチナ20年雇用契約に連動(通常1〜3年)
エージェント代行不可(本人申請必須)可能可能
就労可否マレーシア国外との契約のみ可原則就労不可(プラチナのみ可)マレーシア国内で就労可

MM2Hは条件を満たせば、代行会社を通じて書類一式を提出することが一般的で、実際に弊社を含む多くのコンサル会社がサポートを提供しています。Employment Pass(就労ビザ)も、雇用主となるマレーシア法人やラブアン法人が申請主体となるため、法人設立や労務の専門家(会社秘書役)が手続き全体を代行するのが通常です。

一方でDE Rantauは、MDECのオンラインポータルに申請者本人がログインし、本人名義で必要事項を入力・書類をアップロードする設計になっており、他社が「弊社が全て代行します」と謳うことは、制度上できません。この違いを理解せずに申し込み先を探すと、実態と異なるサービス説明に振り回されてしまう可能性があるため、注意が必要です。

よくある質問

Q1. DE Rantauは日本国内から申請できますか?
A1. はい。オンライン申請のため、マレーシアに渡航する前、日本国内からの申請が可能です。承認後、マレーシア入国時にパスの発給手続きを行います。

Q2. 会社員でも申請できますか?
A2. 可能です。ただし雇用主がマレーシア国外の企業であること、雇用契約の残存期間が3ヶ月以上あることが条件です。マレーシア国内企業との雇用契約は対象外です。

Q3. 経営者ですが、自分の会社から役員報酬を受け取っています。対象になりますか?
A3. 会社がマレーシア国外に所在し、報酬もマレーシア国外源泉であれば、非テック枠(年収USD60,000以上)での申請対象になり得ます。ただし事業構造によって判断が分かれるため、個別に専門家へ確認することをおすすめします。

Q4. 家族を帯同できますか?
A4. 配偶者、18歳未満の子供に加え、主申請者の親の帯同も認められています。扶養家族1人あたりMYR 540(約2.2万円)の追加費用が必要です。

Q5. 却下された場合、再申請はできますか?
A5. 可能です。ただし正式な異議申立て制度はなく、却下理由を踏まえて書類を修正した上での再申請という形になります。2025年5月以降、却下時も申請手数料は返金されない点にご注意ください。

Q6. DE RantauからMM2Hなど他の長期ビザへ切り替えることはできますか?
A6. DE Rantau自体に永住権や他ビザへの自動移行、切り替えの仕組みはありません。長期的にマレーシアに残りたい場合は、MM2Hや法人設立を伴う就労ビザなど、別枠での切り替え申請を別途検討する必要があります。

まとめ

DE Rantau Nomad Passは、2024年6月の対象拡大により、IT・デジタル系の個人だけでなく、経営者や専門職の方にとっても現実的な選択肢になりました。一方で、申請手数料の非返金化や審査の長期化など、制度の厳格化も同時に進んでいます。体感の承認率は約3割というのが弊社の実感であり、書類の精度が結果を大きく左右します。マレーシアでの長期滞在・拠点づくりを検討されている経営者・フリーランスの方は、DE Rantauに加えてMM2Hやラブアン法人設立のルートも含めた比較検討をおすすめします。

FSIGMAがご支援できること

DE Rantauはご本人による直接申請が必須のビザのため、弊社が申請そのものを代行することはできません。一方で、以下の形でサポートすることは可能です。

・弊社提携先による書類作成サポート(有償):英語での契約書・収入証明フォーマットの整備、オンラインフォーム入力前のチェックなど
・日本語対応可能な現地サポート会社のご紹介
・MM2H、法人設立など、DE Rantau以外の選択肢を含めた移住プラン全体のご相談

DE Rantauの書類作成サポート・提携先のご紹介について相談したい方へ

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山本聖 FSIGMA株式会社海外移住コンサルタント

記事執筆者

山本 聖

Sei Yamamoto

FSIGMA株式会社 海外移住コンサルタント
IYOU Accounting Advisory PLT 日本代表


1994年 横浜生まれ。慶應義塾大学法学部卒。19歳で学生起業、27歳でマレーシア・クアラルンプールへ移住。日本人経営者・富裕層向けに、マレーシア移住・海外事業進出を支援。ラブアン法人・マレーシア法人設立、各種ビザ取得サポート、遺言書作成サービスはじめ、プライベートバンクや国際信託を活用した資産形成・資産承継コンサルティングを行う。これまでに500名以上の日本人経営者・富裕層の海外移住・資産形成相談、サポート実績。

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