【2022年最新】日本の金融所得課税の仕組みとは!?わかりやすく解説

岸田首相の経済政策の中に、金融所得課税の増税があります。この政策が発表された時、株式市場が一時嫌気をさし、株価下落につながりました。

岸田首相は、その後、当面は金融所得課税の増税は行わないと述べました。しかし、この政策は撤回されていないので、今後行われる可能性は十分あると考えられます。

この金融所得課税の増税は、富裕層だけの問題ではなく、資産運用しているすべての人にとって非常に重要な問題になります。
本稿は、この金融所得課税について解説していきます。

目次

金融所得課税とは

金融所得課税とは、預金、株式や投資信託などの金融商品で得た所得にかかる税金です。
預金には利子、株式には配当や売却利益が所得になりますので、これらに課税されるのです。

金融所得課税
預金利子
株式配当 / 売却利益

金融所得に対する税率は、一律20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。金融所得がどれだけ高くても、負担する税率は均一である点が特徴です。

一方、給与所得や事業所得などは、所得が増えるほど税率も増えていく制度(累進課税制度)で、最も高い税率が55%(所得税45%+住民税10%)です。

つまり、金融所得と給与所得などは、課税の仕組みが異なるということに注意してください。

金融所得給与所得、事業所得
税率20.315%10〜55%
課税方式申告分離課税/総合課税(累進)/
申告不要方式
総合課税

例えば、上場株式等の配当所得等に係る課税方式は、3種類(申告分離課税/総合課税/申告不要方式)あり、納税者が選択できる仕組みになっています。

申告不要方式を選択すると、確定申告不要で源泉徴収により納税が完結します。そのため、多く人がこの方式を選択します。
確定申告する場合は、総合課税方式または申告分離課税方式を選択する必要がありますが、利子所得については総合課税方式を選択できません。

総合課税方式を選択した場合、累進税率が適用され、配当控除を受けることができます。
その半面、株式の譲渡損失との損益通算はできません。

申告分離課税方式を選択した場合、税率は20.315%となり、配当控除を受けられない半面、他の株式の譲渡損失との損益通算ができます。

したがって、毎年、資産運用状況に応じて、最も得になる課税方式を選択していくことになります。

【海外の状況】
金融所得課税は、諸外国により異なりますが、日本と同様、海外でも給与所得や事業所得と比較して金融所得課税が低くなっていることが多いです。
例えば、アメリカでは給与所得に対する税率は連邦税で最高37%です。
一方で、1年を超えて保有した株式を売却し得られた利益への連邦税は最高で20%です。
また、イギリスは、給与所得課税は最高45%ですが、株式の譲渡益課税は、最高20%です。

1億円の壁とは

給与所得や事業所得の増加に伴って、所得税が増加していくという累進課税が基本的な仕組みです。
最高税率は課税所得4,000万円超で設定されている55%です。

しかし、金融所得への税率は、所得に関わらず、一律で20.315%です。
所得が1億円を超える付近から、逆に所得税負担の割合が減ってくるという現象が起きます。

これが1億円の壁と言われているものです。
これは富裕層であればあるほど、保有資産における金融資産の割合が増加することから起こる現象です。

金融資産の所得税が資産高にかかわらず均一の20.315%なので、この均一税部分が所得税の中で拡大していき、結果的に所得税の割合が軽減されるようになってしまうのです。

金融所得課税引き上げ(増税)の狙い

富裕層が金融商品を多く保有するので、1億円の壁ができてしまったからといって、元々の税制度が1億円の壁の発生を意図したものとは思えません。

したがって、1億円の壁が発生したことを捉えて、金持ち優遇だという批判は当たりません。
しかし、客観的に言えば、この1億円の壁を放置していることは、金持ち優遇ということにつながってしまうでしょう。

岸田首相が掲げる成長と分配の好循環の実現を実行する手段の一つとして、金融所得課税の見直しを位置づけているのはこの1億円の壁を打破したいという思惑があります。

しかし、そもそも1億円以上の富裕層は全体として多い訳ではなく、1億円以下の方が圧倒的多数という現状を踏まえると、金融課税所得の引き上げは、これから投資を頑張ろうという層にも大打撃を与えることになりかねません。

日本は、欧米諸国と比較して、貯蓄の割合が高く、家計が保有する金融資産のうち株や投資信託の割合は16%ほどです。

したがって、金融課税所得を増税したとしてもその効果はあまり期待できないです。

一方、増税を嫌って、投資を断念したり、海外移住するなど、かえって国力を削ぐことにならないかという懸念があります。つまり、副作用の方が大きい可能性があるということです。

要するに、金融課税所得の増税は、政府が進めようとしている“貯蓄から投資へ”の流れと逆行しそうな気配がしているわけです。

金融所得課税見直しの方向性

金融所得課税見直しの方向性としては、金融所得を総合課税方式に変更し累進課税にするか、申告分離課税のままで税率をアップするかという大きく2方向で検討されていくと思われます。

所得再分配機能の強化目的で金融所得課税増税するのであれば、税率引き上げと同時に、利子所得や株式等譲渡所得なども総合課税方式を選択できるようにするなど、低所得者層の負担軽減を図る必要も出てくるでしょう。

このように、さまざまな課税対象にどの課税方式を取るのが最適なのかという、適切な税制のグランドデザインを構築する中で、金融所得課税を位置付ける必要があるということです。

金融所得課税が引き上げられると、資産形成目的で投資をしている一般投資家が株式市場から離脱してしまう危険性があります。

そうなれば、株式市場が不活性状態になり、株価下落などのさまざまな問題に直結していく懸念が出てきます。
また、2023年度税制改正では、少額投資非課税制度(NISA)の拡充(NISAの恒久化など)も焦点となっています。

したがって、今後も金融所得課税見直しの動向を注視していく必要があります。
また、投資をされている方は、金融資産において、どのような資産をどれくらいの割合で保有するかを考える必要があります。

今後の資産形成においては、ポートフォリオやアセットアロケーションの見直しが不断に必要になってくるということに留意してください。

まとめ

金融所得課税引き上げについて、さまざま解説してきました。
日本の税制度は、諸外国と比較してもかなり複雑でわかりにくいです。

また、NISAなどの非課税制度も複雑なものになっています。
税制度などをシンプルに構成していき、公平性や公正性を担保するようにすることが政府には求められています。

また、大きなトレンドとして、金融所得非課税の国への海外移住への流れも加速していくと思われます。
弊社FSIGMAは、マレーシアのラブアン法人で、海外投資の窓口、海外移住の窓口、海外不動産を事業として展開しております。

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