フィリピン不動産を購入した場合、フィリピンの法律に基づいて各種の税金がかかりますが、フィリピンだけでなく、日本でも課税されるので注意が必要です。
しかし、日本とフィリピンは租税条約を結んでいますので、二重課税されない仕組みになっています。
今回は、日本居住者がフィリピン不動産を購入した場合にかかる税金について解説いたします!
外国人のフィリピン不動産購入規制
フィリピンでは、外国人は土地を購入することができません。建物部分は外国人でも購入、登記が可能です。一戸建て住宅は土地がセットになっているので、原則として外国人は購入できません。
そのため、外国人がフィリピン不動産を購入する場合には、一般的にコンドミニアム(日本で言うマンション)を購入することになります。
さらに、1つの建物における外国人所有総面積が、総床面積の40%未満でなければならないという規制もあり、外国人がコンドミニアムを丸々一棟購入することはできません。
フィリピン不動産にかかる税金や諸費用の種類
フィリピン不動産は、取得や所有のタイミングによって課される税金が変わります。
主な税金や費用について一覧にまとめました。
タイミング | 税等 | 内容 |
---|---|---|
(1) 取得時 | 印紙税 | 購入価格or公正市場価格の高い方の1.5% |
不動産譲渡税 | 売買価格or公正市場価格の高い方の6% | |
不動産移転税 | 売買価格or公正市場価格の高い方の0.75% (マニラ首都圏以外は0.5%) | |
公証人費用 | 公正市場価格の1〜2% | |
登録費用 | 売買価格の0.25%程度 (ただし、累進的に変動) | |
(2) 所有時 | 固定資産税 | 評価額の1〜2% |
特別教育基金 | 評価額の1%(マニラ首都圏のみ | |
火災保険料 | 評価額の約0.4% (物件・管理会社等により異なる) | |
組合管理費 | 月60~120ペソ/㎡~ (エリアや物件により異なる) | |
(3) 運用時 | 所得税 | 賃貸収入の25% (180日未満フィリピン滞在の外国籍非居住者) |
賃貸収入の5〜32% (180日以上フィリピン滞在の外国籍非居住者、外国籍居住者) | ||
管理委託手数料 | 家賃の1ヶ月分+毎月家賃の10%程度 (管理会社により異なる) | |
(4) 売却時 | 不動産譲渡税 | 売買価格or公正市場価格の高い方の6% (売却損が出ても課税されるので注意) |
印紙税 | 売買価格or公正市場価格の高い方の1.5% | |
不動産仲介手数料 | 売買価格の3〜6% |
*なお、2022年8月20日時点での税制をもとに記述しています。
随時税制改正が行われる可能性があり、当記事記載の内容と最新情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。
それでは、それぞれのタイミングでかかる税金や費用について詳しく見ていきましょう。
フィリピン不動産取得時の税金
フィリピン不動産取得時とは、プレビルド段階で購入したタイミングではなく、竣工済みの物件を取得するタイミングを指します。
\\ 東南アジア不動産の購入方法「プレビルド方式」について解説はこちら //
①印紙税
取得時には、まず印紙税がかかります。これは、不動産の取引に関わる書類発行に課せられる税金です。物件の売買価格、もしくは公正市場価格の高い方の1.5%となっています。
②不動産譲渡税
次に、不動産譲渡税がかかります。これが最も取得時に負担が大きい税金で、物件の売買価格、もしくは公正市場価格の高い方の6%となっています。
③不動産移転税
さらに、不動産移転税がかかります。これは物件売買価格か公正市場価格の高い方の0.75%(マニラ首都圏の場合)、マニラ首都圏以外は0.5%です。
④公証人費用
税金以外の費用も発生します。例えば、公証人費用と言って、売買事実を公証人に証明してもらう際にかかる費用が発生し、物件の公正市場価格の1〜2%程度かかります。
⑤登録費用
他には、登録費用があります。これは物件売買価格に応じて累進して課せられますが、おおむね売買価格の0.25%程度です。
これらを合わせると、マニラ首都圏の物件で合計約9.5〜10.5%の取得費用・税金がかかることになります。
「印紙税1.5%」+「不動産譲渡税6%」+「不動産移転税0.75%」+公証人費用1〜2%」+「登録費用0.25%」=9.5%〜10.5%
プレビルドで購入した場合には、竣工して物件取得する際にまとまった支払いが発生するので、計画的に資金を確保しておくようにしましょう。
なお、3,199,200ペソ以上の物件には12%のVAT(付加価値税)がかかりますが、通常は物件価格に含まれて提示されるため、ここでは計算に入れていません。
フィリピン不動産所有時の税金
①固定資産税
日本と同じくフィリピンでも不動産を所有していると、固定資産税が毎年かかります。
自治体によって税率は異なりますが、取得した不動産に対し、不動産評価額の1~2%程度の税金が課せられます。
②特別教育基金(マニラ首都圏のみ)
また、マニラ首都圏の物件の場合には、特別教育基金というものがかかり、不動産評価額に対し、1%の特別教育基金の支払いが必要になります。ちなみに、評価額=公正市場価格×評価水準(%)で計算されます。
③火災保険や組合管理費
税金とは別で、火災保険や組合管理費(日本で言う修繕積立金や共益費を含むもの)なども発生し、金額はエリアや物件、会社によって異なります。
フィリピン不動産運用(賃貸)時の税金
①所得税
不動産物件を賃貸に出して運用した場合、賃貸収入に対して所得税がかかります。フィリピンの税務上の居住者であるかどうかによって適用税率が異なります。
フィリピンでの滞在期間が180日未満の外国籍の非居住者には、賃貸収入の25%が一律に課せられます。
一方、滞在期間180日以上の外国籍の非居住者や、外国籍居住者の場合の税率は、5~32%が課せられます。
②管理委託手数料
税金以外の費用としては、管理会社への委託手数料がかかります。
通常は、委託時の手数料としてに1ヶ月分の家賃分の金額を支払い、その後賃貸付けが続いている間は、毎月家賃の10%程度を支払うことになります。
フィリピン不動産売却時の税金
①不動産譲渡税
取得時のみならず、売却時にも不動産譲渡税がかかります。
物件の売買価格、または公正市場価格の高い方の6%がかかります。これは譲渡益が出た場合だけでなく、売却損が出た場合も同様に課税されますので、注意が必要です。
不動産譲渡税は譲渡した日から60日以内に支払うことが求められ、売主が支払うのが一般的です。
②印紙税
不動産売却時にも取得時と同様に印紙税が発生します。
③不動産仲介手数料
税金の他には、不動産仲介手数料がかかります。通常、物件の売買価格の3〜6%がかかります。ただし、仲介手数料は買主が負担するケースが多いです。
なお、3,199,200ペソ以上の物件には12%のVAT(付加価値税)がかかりますが、通常は物件価格に含めて提示をします。
フィリピン不動産と日本不動産の税金等比較
不動産売買時にかかる税金について、フィリピンと日本でざっくり比較してみます。
日本の場合
日本では仲介手数料と不動産取得税だけで、物件価格の7%ほどがかかります。それ以外の諸経費と合算すると、物件価格の10%程度は必要になってきます。
また、日本で新築物件を購入する場合は、建物価格に対して10%の消費税が課税されます。
売主が個人である中古物件(居住用不動産のみ)を購入する場合は、消費税は非課税です。売主が法人である場合の中古物件を購入する場合は、消費税がかかります。投資用不動産には、中古物件であっても常に消費税がかかります。
フィリピンの場合
フィリピンでは、所定金額以上の売買価格であれば、12%の付加価値税(VAT)がかかります。
フィリピンでは、買主の税金等の負担は物件価格の4%〜5%程度、売主の税金等負担は、10〜12%程度で済みます。
したがって、日本とフィリピンで比較すると、買主の場合はフィリピンの方がやや安く、売主の場合はフィリピンと日本は同程度の負担となります。
日本居住者が注意すべき税制
日本居住者が、フィリピン不動産を購入した場合、フィリピン国内で種々の税金が課されるだけでなく、日本においても課税されますので注意が必要です。
日本では、日本居住者が得た国外源泉所得に対して、日本でも課税(全世界所得課税)をすると定めているためです。
ちなみに、シンガポールやマレーシアでは、国外源泉所得に対する課税はなく、日本は比較的厳しい税制を敷いています。
日本でも課税されるものの、フィリピンと日本は租税条約を結んでおり、二重課税を防止する仕組みができています。
具体的には、日本で確定申告を行って、外国税額控除制度を利用して、税金の還付を受けることができます。これで、二重課税が回避されます。
例えば、日本の一般税制では100万円の税金を納める必要があるところ、フィリピンではまだ70万円しか納税をしていないと言う場合、差額の30万円だけを日本で納税することになる、というイメージです。
しかし、先にフィリピンと日本で税金を払った後に、日本で税還付を受けるという手順になるので、一時的に二重に税金を支払った状態になり、キャッシュフローに注意する必要があります。
また、参考までに、フィリピンでは、日本と比較して相続税・贈与税は安いです。日本では最大55%課せられます。
相続税や贈与税についても租税条約に基づき、二重課税がされないようになっています。
ただし、日本人が日本での相続税、贈与税の一切を免れるためには、相続人(贈与人)と被相続人(被贈与人)が10年以上日本国外に居住している必要があります(10年ルール)。
まとめ
フィリピン不動産の購入、所有、運用、売却時の税金について解説してきました。
日本居住者がフィリピン不動産を購入して、収益を得る場合には、日本でも基本的に納税義務が発生すると考えておきましょう。
税務処理は複雑なことも多く、かつ度々改正される場合も多いです。
海外不動産にかかる税務についても必ず税理士にご相談ください。
弊社FSIGMAでは、フィリピン不動産の販売を行っている上、海外不動産や国際税務に精通した税理士と提携関係にありますので、海外不動産の税務でお悩みの方もお気軽にご相談ください。
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